歳をとると食事にも変化が
犬がシニア期に入ると、食事に関する悩みが一気に増えます。
「最近食欲が落ちた」
「食事量は変わらないのに太ってきた」
「どんなフードを選べばいいのかわからない」
という声はとても多く、食事はシニアケアの中でも最重要ポイントです。

この記事では、シニア犬の食事の基本から、フード選び・量の決め方・水分補給・食べない時の対処法まで、わかりやすく詳しくまとめました。
今日からできる工夫ばかりなので、ぜひ愛犬の食生活に役立ててください♪
シニア犬の食事で最も大切な考え方
まず知っておきたいのは、シニア犬の食事は「特別なものに変える」というより、“今の体の状態に合わせて微調整していく時期”ということです。

シニア期になると、次のような変化が起こります。
- 代謝が落ちる(太りやすくなる)
- 筋肉量が減る(足腰が弱くなる)
- 消化機能が低下する
- 噛む力・飲み込む力が弱くなる
- 水を飲む量が減る
- 臓器の働きが衰える(腎臓・心臓など)
これらはすべて食事と密接に関わっています。
だからこそ、フード選びを慎重にすることで、犬の健康寿命(元気に過ごせる時間)を大きく延ばすことができます。
シニア犬用フードの特徴と選び方
シニア用フードは、老化で変化する体に合わせて作られています。
一般的な特徴は次のとおりです。

カロリーは控えめ
代謝が落ちるため、若い頃と同じ量を食べると太りやすくなります。
太りすぎは関節・心臓に大きな負担をかけるため、カロリー調整はとても大切です。

タンパク質は“低すぎず高すぎず”
・高すぎる → 腎臓に負担
・低すぎる → 筋肉が落ちる
そのため、シニア用は“適度なタンパク質量”に調整されています。

消化しやすい作り
シニアは胃腸の働きが弱くなるため、
・粒が小さめ
・柔らかくふやけやすい
・消化吸収を助ける成分入り
などが採用されています。

関節や心臓に配慮した栄養
グルコサミン、コンドロイチン、L-カルニチン、DHAなどなど。
シニア期に不足しやすい成分が入っているものも多いです。

食事の切り替えは「急に」ではなく「少しずつ」
シニア犬は環境の変化が苦手な子も多く、急な切り替えで体調を崩すことがあります。
切り替えの目安
- 1日目…旧フード70%、新フード30%
- 3日目…旧フード50%、新フード50%
- 5日目…旧フード30%、新フード70%
- 7日目…新フード100%
これはあくまでも目安のスケジュールになります。
もし、お腹が緩くなった場合は、旧フードに戻して様子を見ることが大切です。

シニア犬の食事量の決め方|「太りすぎ」と「痩せすぎ」どちらも危険
体重管理は“毎週チェック”
シニア期は体重変化が病気のサインになることも多いため、毎週1回の体重チェックが理想です。

痩せすぎのリスク
・筋肉が落ちる
・免疫力が弱くなる
・体温が維持できず風邪を引きやすい
特に大型犬は筋肉量が少なくなると立ち上がれなくなることがあります。
太りすぎのリスク
・心臓への負担
・関節の痛み
・糖尿病
・無呼吸
・動くのがつらくなる
少しの体重増加でも影響が大きいので注意が必要です。
シニア犬は「水分補給」が命に関わるレベルで重要
加齢とともに、水を飲む量はどうしても減ります。
特に腎臓病リスクの高い犬は、水分補給がとても重要です。

水を飲ませるコツ
- ぬるま湯にする
- ウェットフードを混ぜる
- スープを足す(犬用)
- 水飲み場を増やす
- シリンジで与える(獣医の指示がある場合)
ウェットフードの活用

ウェットフードは水分が80%ほどあり、シニア犬の水分補給にもっとも優れています。
ただし、総合栄養食であることを必ず確認しましょう。
「食べない」「残す」時の対処法
シニア犬で最も多い悩みがこの部分です。

食べない時の原因
その子によって原因はさまざま。
複数の要因が重なって食欲が落ちている場合もあります。
- 歯が痛い
- 嚥下(飲み込み)が弱っている
- 老化による味覚の変化
- 病気の初期症状
- ストレス
- 単純に飽きただけ
すぐできる対処法
歯痛や病気の場合はすぐに病院での診察が必要です。
しかし、特に健康に問題がない場合は食事を工夫してみましょう。
- フードをぬるま湯でふやかす
- トッピングを少量つける(犬用)
- 粒を小さめに変える
- 香りの強いフードに変える
- 食器を浅くして食べやすくする
- 床に置かず、少し高さのある台に乗せて食べやすくする
絶対にやってはいけないこと
- 人間の食べ物を与え続ける
- 食べないからとフードを次々変える
- 放置して「お腹が空けば食べる」と思い込む
シニア犬に“食べない日が続く”のは重大なサインです。
数日続くなら病院へ相談しましょう。

食事がしづらい時の工夫
それぞれの原因に合わせて食べやすくしてあげましょう。
歯が弱い子
- ふやかしフード
- ウェットフード
- 小粒・超小粒に変更

顎の力が弱い子
- 半生フード(ソフトタイプ)
- パウチ系のスープタイプ

飲み込みが苦手な子
- トロみをつけて喉の通りを良くする
- 誤嚥が疑われる場合は必ず獣医へ

持病があるシニア犬の食事は「必ず獣医と相談を」
シニア期は、
・腎臓病
・心臓病
・肝臓病
・膵炎
などの病気が増えます。
持病のある犬は、市販のシニアフードでは合わないことがあります。

療法食は“勝手に与えない”
療法食は薬と同じで、症状に合わせて調整された医療用フード。
合わない子に与えると逆効果になることもあります。
必ず獣医師の指示に従いましょう。

まとめ|シニア犬の食事は「量」よりも「質」の時代へ
犬のシニア期は、食事を整えれば生活の9割が良くなると言われるほど重要です。
・代謝
・筋肉
・関節
・内臓
・免疫
すべてが食事と密接に関わっています。
シニア犬は体がデリケートな時期だからこそ、少しの工夫やフード選びで、毎日の快適さが大きく変わります。
食べることは、生きる力そのもの。
愛犬のペースに寄り添った食事で、シニア期を穏やかに、健やかに過ごしていきましょう。



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