いつかは迎えるシニア期
犬と暮らしていると「最近寝てばかりいる」「散歩で歩く速度がゆっくりになった」など、少しずつ年齢を感じる瞬間が増えていきます。
しかし、どこからが“老化”で、どこからが“病気のサイン”なのか、判断が難しいことも。

この記事では、愛犬が健康で穏やかにシニア期を過ごすために、シニア犬に起こる身体と心の変化、気づきやすいサイン、老化と病気の違いの見分け方などを丁寧に解説していきます。
初めてのシニアケアの入門として、ぜひ参考にしてくださいね。
犬は何歳からシニア?犬種サイズ別の目安
犬のシニア期は人のように一律ではなく、体の大きさ(犬種)によって大きく異なります。
小型犬(例:チワワ、トイプードル、ミニチュアダックスなど)
・シニア期の目安:7〜9歳から
・寿命が長めなので、ゆるやかな老化が多い
→ 若く見える犬も多いため、変化が遅いぶん気づきにくい傾向があります。

中型犬(例:柴犬、ビーグル、コーギーなど)
・シニア期の目安:6〜8歳から
→ 体力低下や関節の衰えが少しずつ出やすい年代です。

大型犬(例:ゴールデン、ラブラドール、バーニーズなど)
・シニア期の目安:5〜7歳
→ 体の負担が大きく、老化のサインも比較的早く訪れます。

犬の加齢スピード
犬は人の4〜7倍のスピードで年齢を重ねるため、半年〜1年の変化が人間の数年分に匹敵することもあります。
だからこそ、早めにシニア期を意識したケアが大切になります。

シニア期に見られる主な身体の変化
犬の老化はゆっくり訪れますが、飼い主が気づけるサインは確実に増えていきます。
寝ている時間が増える
シニア犬は、
・体力が落ちる
・代謝が下がる
・回復に時間がかかる
といった理由から、1日の半分以上を寝て過ごすことも珍しくありません。
ただし、突然眠りが深くなる場合は病気の可能性もあります。

歩くスピードがゆっくりになる
関節の衰えや筋力低下により、散歩での歩調が落ちたり、階段を嫌がったりします。
これは“自然な老化”ですが、痛がるそぶりがある場合は関節炎の可能性も。

白髪が増える・毛質がパサつく
特に顔周りは白髪が出やすく、毛並みもふんわり感が減ることがあります。
栄養吸収が弱くなることも関係しているため、食事の見直しが有効です。

視力・聴力の低下
・呼んでも反応が遅い
・物にぶつかる
などは加齢に伴うもの。
ただし、急激な視力低下は白内障や耳疾患の可能性があります。

食欲の変化
・食欲が落ちる
・反対によく食べる
など、どちらも老化のサインになり得ます。
消化機能の変化やホルモンバランスが関係しています。

シニア期に見られる心(行動)の変化
身体だけでなく、性格や行動にも変化が現れることがあります。
甘えん坊になる
不安を感じやすいため、飼い主のそばにいたがるようになることがあります。

刺激に鈍くなる
呼んでも反応が薄い、遊びに興味が薄れたなど。
性格が穏やかになる犬も多いです。

夜鳴き・徘徊
高齢犬に多い「認知機能の低下」による症状です。
毎日ではなくても、兆候が見られたら早めに獣医へ相談することをおすすめします。

老化と病気の違いの見分け方
シニア期で最も難しいのは「変化が老化か?病気か?」を判断すること。
以下のポイントを知っておくと、早期発見に役立ちます。

老化の特徴
・ゆっくり進行する
・日ごとの大きな変化が少ない
・しばらく様子を見ると少し安定することもある
病気の特徴
・短期間で急激に悪化する
・明らかに以前と違う行動が見られる
・痛がる・呼吸が苦しそう・食べないなど生命に直結する変化
見分け方のコツ
「数日前より明らかに変わった」
→ 病気の疑いが強い
「半年〜数年かけてゆっくり変化した」
→ 老化の可能性が高い
ただし素人判断は危険なので、気になる症状があれば早めに病院へ。
シニア期に備えて今日からできる3つのこと
シニア期は“特別な介護”を始める時期ではなく、健康寿命を延ばすために生活を整える時期です。
定期的な健康診断を受ける
7歳を超えたら、年1〜2回の血液検査が推奨されています。
病気の早期発見につながり、治療の負担も軽くできます。

足腰に優しい生活環境を整える
・フローリングに滑り止めマット
・段差を減らす
・関節に良いベッドを用意
など、小さな工夫でケガのリスクを減らせます。

食事と体重管理の見直し
・タンパク質量の調整
・消化しやすいフード
・水分補給の強化
体重が重いと関節・心臓に負担がかかるため、特に注意が必要です。

まとめ|シニア期は“穏やかで優しい時間”をつくる大切な時期
犬のシニア期は、身体と心に小さな変化が積み重なる時期です。
老化は避けられないものですが、飼い主が早く気づき、適切にケアすることで、愛犬の生活は大きく変わります。
・いつからがシニアか
・どんな変化が起きるのか
・病気とどう見分けるのか
これらを知っておくだけでも、迷いが減り、犬にとって快適な毎日につながります。

シニア期は決してネガティブなものではありません。
寄り添う時間が増え、心がより深くつながる、とても温かい時間でもあります。
これからも、あなたと愛犬の毎日が穏やかで幸せに続きますように。


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