犬について知ろう
初めて犬と暮らす飼い主さんがつまずきやすいポイントの多くは、
「良かれと思ったことが、実は危険だった」
という“誤解”から生まれています。

犬は人間と、体の作りも、食べ物の仕組みも、感じ方もまったく違います。
間違った知識のまま接してしまうと、「取り返しがつかない問題」へつながることもあります。
ここでは、飼い主さんが特に誤解しやすい危険ポイントを、理由と対処方法とともにまとめました。
よくある誤解ポイント
犬に「普通の人間の食べ物」を”少し”なら与えても大丈夫
犬は人間と代謝のしくみが異なるため、同じ食べ物でも「毒」になることがあります。
特に 玉ねぎ・ネギ類・ぶどう・チョコレート は少量でも中毒を起こす危険性が高く、最悪命に関わります。
また、人間の食事は 塩分・脂肪・糖分が圧倒的に多い ため、体の小さな犬には大きな負担となりやすいのです。

・“一口だけ” でも習慣化すると危険
・犬が欲しがっても絶対に与えない
・味なしの野菜や茹でた肉なら少量OKな場合もあるが、基本はドッグフードで十分
初心者ほど「手作りしてあげたい」と思いがちですが、愛情と安全は別問題。
まずは 犬の栄養バランスを考えて作られたフードが基本 と覚えておきましょう。
散歩はワクチン前でもして良い
子犬は免疫力が低く、感染症(パルボ・ジステンパーなど)のリスクが高いため、ワクチンが完了するまでは 地面を歩かせる散歩は厳禁 です。
しかし、「抱っこ散歩」は逆に推奨されます。
社会化のため、外の音・匂い・人・車に慣れることがとても大切だからです。

・ワクチン前 → 抱っこ散歩はOK、地面はNG
・ワクチン完了後(最終接種から約1〜2週間後) → 外を歩く散歩デビュー
社会化不足の犬は成犬になってから吠えやすかったり、怖がりになることが多いので、正しいステップは重要です。
「犬は寒さに強い」
実は多くの犬種が寒さに弱いんです。
短毛種・小型犬・老犬は特に寒さに弱く、冬場の冷え込みは体調不良の原因になります。
室内が10℃以下になると咳、震え、食欲不振が出る犬もいます。

・震える
・体を丸めて動かない
・床を避けてソファなどへ逃げる
暖房もしくはペット用ヒーター、あったかマットの利用は冬の必須アイテムです。
留守番は「自由に部屋に放す」ほうがストレスがなく良い
これは事故の原因になりやすい誤解です。
犬は好奇心が旺盛で、
・電気コードを噛む
・誤飲
・家具から落下
・おしっこトラブル
など危険が多く、特に子犬は“予期せぬ行動”が非常に多いです。

・留守番は サークルやクレートで安全を確保する
・犬にとって狭い空間は「安心できる巣穴」
・安全で落ち着ける環境を整えることが犬の心にも体にも良い影響
叱れば覚える
多くの初心者が誤解しがちな点ですが、犬は“何に対して叱られたのか”をほとんど理解できません。
例えば、留守番中にいたずらをしてしまい、帰宅後に叱っても犬は「飼い主が怒っている」ことしか分からず、行動改善にはつながりません。

・叱るのは現行犯のみ
・成功したときに全力で褒める
・叱るより「できたら嬉しい」を積み重ねた方が10倍早く覚える
しつけは“罰を与える行為”ではなく、良い行動を強化する行為 です。
狂犬病予防接種は省略してもいい
室内飼いだから予防接種をしなくても良いは大きな誤解です!
狂犬病ワクチンは法律で義務付けられており、生後91日以降の犬は「毎年1回」接種が必要です。

これは犬のためだけでなく、人間を守るためでもあります。
接種しなかった場合、罰則の対象になる可能性もあります。
ノミ・ダニ・フィラリア対策は後回しで大丈夫
『室内犬だから虫はつかない』というのは間違いです。
室内犬でも散歩中・玄関・ベランダから簡単にノミダニの侵入があり、特にフィラリアは 蚊1匹 から感染します。
予防薬は後回しにすると命に関わる病気につながります。

・フィラリア予防(春〜冬前まで)
・ノミダニ予防(年間通して推奨)
病気になってから治療するより、予防の方が安全で費用もはるかに安く済みます。
サークル・ケージに慣らすのは可哀想
野生の犬は巣穴で生活するため、狭い場所は安心できる空間です。
サークルやクレートは、
・落ち着く
・安全が守られる
・留守番が安心
など多くのメリットがあります。

トイレは自然に覚える
犬は賢いので自分で覚えると思っている方もいますが、それは間違いです。
犬は場所で判断する習性があるため、しっかり教えなければ「好きな場所=トイレ」になってしまいます。
正しくトイレを教えるには、
・失敗させないための環境づくり
・成功した瞬間のご褒美
・ルールの一貫性
が必須。
“自然に覚える” のは一部の犬だけで、ほとんどは飼い主のサポートが必要です。

大きくなったら吠えなくなる
犬の吠えは、
・警戒
・要求
・恐怖
・興奮
などの感情の表れです。
年齢で自然に治ることはほぼなく、むしろ“吠えることで願いが叶う経験”が積み重なると習慣化してしまいます。
※改善にはしつけ・環境調整・運動量・社会化が不可欠。

最後に:知らないこと=危険ではなく、知れば守れる
初心者が誤解しやすいポイントは、どれも“知らないだけ”で起きやすい問題です。
しかし、知識さえあれば多くは未然に防げます。
犬を守れるのは飼い主だけ。
小さな誤解が大きな事故にならないよう、今日から少しずつ正しい知識を積み重ねていきましょう。


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