体も生活も変わっていく時期
犬がシニア期に入ると、足腰の弱り、疲れやすさ、段差のつまずき、夜間の不安行動など「生活そのもの」に変化が出てきます。
しかし、運動量や環境を少し工夫するだけで毎日は驚くほど快適になります。

この記事では、
1.老化による変化の理由
2.歩けるうちに必要な運動
3.家の中で事故を防ぐ工夫
4.寝床や食事・トイレ環境の整え方
5.認知症予防につながる過ごし方
まで網羅して解説します。
明日からすぐできる工夫ばかりなので、ぜひ愛犬の生活改善に役立ててくださいね。
シニア犬の体はどう変わる?運動・生活環境の見直しが必要な理由
シニア期の犬は、見た目以上に身体のあちこちに変化が起きています。
- 筋肉量の減少(特に後ろ足)
- 関節の柔軟性低下
- 視力・聴力の低下
- 反応速度の低下
- 心臓・肺などの機能低下による疲れやすさ
- 段差のつまずき・ジャンプ失敗が増える
- 睡眠時間の増加
- 体温調整が苦手になる
これらの変化を理解すると、なぜ「無理な運動がダメなのか」「家の段差が危険なのか」などが明確にわかります。
シニア犬のケアで最も大切なのは、できないことを増やすのではなく、生活を“愛犬仕様”に合わせてあげることです。

シニア犬の運動量の目安|散歩は“短く・回数多く”が理想
若い頃と同じように長時間歩かせると、シニア犬には大きな負担になります。
しかし、運動不足は筋肉低下・肥満・認知症リスクにつながるため、全く運動しないのも逆効果です。
散歩の理想的なスタイル
- 1回の散歩は短く
- 回数を増やす
- ゆっくり歩く
- 気温が低い時間帯に歩く
- 芝生や土など柔らかい地面を選ぶ
- 段差の少ないコースを選ぶ
具体的には、1回10〜15分 × 2〜3回がひとつの目安になります。

すぐ疲れる日は“お散歩に行かない”のもOK
シニア犬は日によって体調が大きく変わります。
疲れている日は無理に散歩へ行かず、
・庭や室内で軽く体を動かす
・知育トイで脳を使う
などでも十分です。

雨の日・寒い日・暑い日の代替運動
天気や気温が体に負担になる時には、室内での運動もオススメです。
- 室内でゆっくり歩くコースを作る
- 知育玩具を使う
- 引っ張りっこ(軽めに)
- 飼い主との“触れ合いタイム”で脳刺激
運動の目的は「歩くこと」ではなく、筋肉を維持し、気分転換することです。

関節を守るために今すぐできること
シニア期の犬は、関節の痛みや筋力低下によって生活の質が大きく下がります。
しかし、家の中に少し工夫を加えるだけで、転倒・滑り・痛みの悪化を防ぐことができます。
滑り止め対策は“最優先”
フローリングはシニア犬にとって大敵です。
滑る → 関節をひねる → 痛み → 運動量が減る → 筋力低下
と悪循環が起こります。
おすすめは
- 滑り止めマット
- コルクマット
- カーペットを廊下にも敷く
など、歩く導線すべてをカバーすることです。

段差・階段はできる限りなくす
- 玄関
- ソファ
- ベッド
- 床からの立ち上がり
これらはすべてケガの元。
スロープやステップを置くだけで、関節への負担が大きく減ります。

寝床は“低反発+体圧分散”が理想
シニア犬に多い「寝返りが減る→床ずれができる」といった悩みは、ベッド選びによってかなり軽減できます。
選ぶポイントは
- 体圧分散できる
- 立ち上がりやすい固さ
- 冬は保温性がある
- 洗いやすい
特に大型犬は、関節や腰の負担を大きく減らせます。

生活リズムの整え方|1日の過ごし方のコツ
シニア犬は若い頃のように体を動かせない分、生活リズムのメリハリが大切になります。
朝
- 軽い散歩
- 水分補給
- 排泄
- ごはん
1日のスタートを“気持ちよく”始めることで、1日中落ち着いた生活になります。

昼
- ゆっくり休む
- 室内運動(短時間)
- 日向ぼっこ
日向ぼっこは、リラックス・関節痛の軽減・サーカディアンリズム安定に効果的。

夕方
- もう一度短い散歩
- 軽いコミュニケーション
体が冷える夜よりも、夕方の方が動きやすいことが多いです。

夜
- 静かに過ごす
- 電気は強くしない(認知症予防)
- 寝る前にトイレへ誘導
シニア犬は夜の不安行動(夜鳴き・徘徊)が起きやすいため、寝る前に軽い運動を入れると安定しやすいです。

シニア犬におすすめの“脳トレ”|認知症予防にも効果
身体だけでなく、脳の刺激もシニア期にはとても大切です。
簡単にできる脳トレ
- フードをタオルに巻いて取り出させる
- 知育玩具を使う
- トリック(お手・待ての練習)
- 名前呼び(アイコンタクト)
- ゆっくりマッサージ
脳トレは、運動が少ない日でも十分な刺激になります。

注意点
無理に長時間させると疲れて逆効果になってしまうことも。
短時間(5〜10分)で終わるのがポイントです。

トイレ・食事・睡眠環境の整え方
シニア犬の生活の質は「環境づくり」で大きく変わります。
食事環境
- 食器の高さを調整(前かがみがつらくなるため)
- 隅ではなく、明るい場所で食べさせる
- 足が滑らないマットの上

トイレ環境
- トイレの場所を変えない
- 段差をなくす
- 犬が迷わないよう視認性を高くする
- 老化で粗相が増えたら怒らない(病気のサインのことも多い)

睡眠環境
- 温度管理は“少し暖かめ”
- 風が直接当たらないところ
- 周りが見える安心できる位置
- 寝返りしやすいスペース
特に冬場は冷えが痛みの大きな原因になります。

歩けない・立てない時にできること
筋力低下や病気で歩けなくなった場合も、サポート次第で快適に過ごせます。
立ち上がり補助
- ハーネスを使う
- タオルをお腹の下に入れて支える
- 滑らない床を徹底する

散歩が難しい日の過ごし方
- ベランダや庭で外の空気を吸わせる
- 日向ぼっこ
- マッサージ
- ストレッチ
- 室内を少し歩かせる
外に出るだけでも、犬にとっては大きな刺激になります。

まとめ|シニア犬の生活は“無理なく・負担なく・楽しく”が基本
シニア期の犬に必要なのは、「頑張らせること」ではなく「今できることを楽しく続ける」こと。
- 散歩は短く、回数を増やす
- 滑りや段差の対策をして関節を守る
- 生活リズムを整えて不安を減らす
- 脳トレで気分転換
- 寝床・食事・トイレを“愛犬仕様”に変える
これらを整えると、シニア犬の表情や行動が驚くほど穏やかになり、飼い主も介護の負担が軽くなります。
「もうシニアだから仕方ない」と思わず、今日から少しずつ環境を整えてあげることで、犬の“今の元気”をできるだけ長く守ることができます。



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