ドッグフードの種類多すぎ問題
犬を迎えると、必ず直面する大きなテーマ――それが「ごはん(フード)」です。
ペットショップやネットを見ると数えきれない種類のフードがあり、
「どれを選んだらいいの?」
「本当に安全なの?」
と不安になる飼い主さんはとても多いもの。

実は、犬のフード選びには明確なポイントがあり、そこさえ押さえておけば初心者でも安心して選べます。
ここでは、フードの種類の違い、選び方、量や与え方、注意点まで、犬と暮らすなら必ず知っておきたい基礎知識をわかりやすくまとめました。
犬のフードにはどんな種類があるの?
まずは「フードにはどんなタイプがあるのか」を知ることが第一歩です。
大きく分けると以下の3種類があります。
ドライフード(カリカリ)
もっとも一般的で、ほとんどの家庭で使われているタイプです。

特徴
- 歯ごたえがあり、噛むことで歯石予防にも役立つ
- 日持ちがする
- 価格が比較的お手頃
- 栄養バランスが安定している
迷ったらまずは総合栄養食のドライフードを選べば間違いありません。
ウェットフード(缶詰・パウチ)
水分が多く、香りが強いため食いつきが良いのが特徴。

特徴
- 嗅覚が敏感な犬にとても魅力的
- 水分補給にもなる
- 噛む力が弱い子にも与えやすい
ただし、ウェットだけで栄養が完結しない製品もあるため「総合栄養食」か「一般食」かの確認が必須です。
セミモイスト・ソフトタイプ
ドライとウェットの中間のような柔らかいフード。

特徴
- 香りが良く食べやすい
- シニア犬や歯の弱い犬にも人気
ただし保存料・糖分が比較的多い製品もあり、常に成分表の確認が重要です。
「総合栄養食」を選ぶのが基本
フードのパッケージにはいろいろな表記がありますが、初心者がもっとも注目すべきは「総合栄養食」という表記です。
“総合栄養食”とは
必要な栄養素がすべて入っており、そのフードと水だけで毎日の栄養が満たされることを意味します。
反対に「一般食」「おやつ」「トッピング用」と書かれているものは、栄養が不足しているため、主食には向きません。

犬の年齢に合ったフードを選ぼう
犬は成長段階によって必要な栄養バランスが大きく異なります。
年齢に合わせたフードを選ぶことが健康の基礎となります。
子犬(パピー)
成長が早く、特に高エネルギー・高たんぱく・高脂質が必要。
骨や筋肉をつくる重要な時期のため、パピー用を必ず選びましょう。

成犬(アダルト)
運動量に応じてカロリーを調整。
健康維持のためにバランスの良い総合栄養食が適しています。

シニア犬
代謝が落ち、太りやすくなるため低カロリー・低脂質がポイント。
関節ケア成分(グルコサミンなど)が入っているものもおすすめです。

原材料のどこを見るべき?初心者でも簡単なチェックポイント
フード選びのハードルが高く感じる理由のひとつが「原材料の見方」。
しかし、次の3つだけ覚えておけば十分です。
主原料は“肉”かどうか
最初に書かれている材料がそのフードのメインです。
犬は雑食寄りの肉食なので、「肉(チキン・ビーフ・ラムなど)」が一番に来ているものが理想的。

穀物は補助的に使われているか
トウモロコシや小麦は悪ではありません。
しかし、「穀物が一番に書かれているフード」は質が低い可能性があります。

不自然な添加物が極端に多くないこと
保存料や香料は少量なら問題ありません。
けれど、「聞き慣れない添加物がずらっと並んでいる」ものは避けるのが無難です。

フードの切り替え方:急に変えると下痢のもと
犬は急な食事の変化に弱く、突然ご飯を変えると下痢や嘔吐につながることもあります。
【正しい切り替えの目安:5~7日】
1日目:旧フード75%+新フード25%
3日目:旧50%+新50%
5日目:旧25%+新75%
7日目:新フード100%
時間をかけることで、胃腸への負担を最小限にできます。
1回の量はどう決める?パッケージの“給餌量表”を使おう
フードの裏面には、体重×年齢別の目安量が表で記載されています。
まずはここに合わせるのが基本。
そのうえで…
- 体重が増えすぎる → 少し量を減らす
- 痩せ気味 → 量を増やす
- おやつを多くあげている → その分フードを減らす
という調整をしていきます。
同じ食事量でも、体質によって変化する場合があります。

食事回数の目安
子犬(8ヶ月まで)
1日3~4回
→ 胃が小さく、1度にたくさん食べられないためこまめに与える
成犬
1日2回(朝・夜)
→ とくに夜だけに偏らないようバランスよく
シニア
1日3〜4回
→ 消化能力に合わせて柔らかくして与えるのも◎
食べムラ・食欲が落ちた時の対処法
犬によっては、急に食べなくなることもあります。
そんな時は以下を試してみてください。

ぬるま湯でふやかす
香りが強くなり、食いつきが改善します。
また柔らかくなることで食感が変わり、食が進むことも。
少量のトッピングを追加
ゆでたささみ・野菜ペーストなど。
市販品でもトッピングとして売られているものが色々あります。
ただし、与えすぎるとフードを食べなくなるので注意です!

ごはんの時間を一定にする
「もらえる時にもらわなきゃ」と理解しやすくなります。
また、しっかりと食事間隔を空けることで食欲が増す効果も。
運動量を増やす
軽い散歩でも食欲アップにつながります。
お部屋の中で遊ぶのも効果的です。

やってはいけない「NGな与え方」
人間の食べ物をあげる
味付けされた食べ物は塩分が高く、腎臓に負担がかかります。
ついついあげたくなってしまいますが、ワンちゃんの体のためにやめましょう。

フードを好きなだけ入れっぱなし
食べ残しは酸化し、栄養価が下がるだけでなく健康を害する可能性も。
また、常に食べれる状況は肥満にもつながってしまいます。
留守にすることが多く、ご飯の準備が難しい時には自動給餌器を使うと◎

ごほうびをあげすぎる
おやつは1日の総カロリーの10%以内が目安です。
欲しがるだけあげてしまうと、体重増加にもつながります。
また、ご飯の時間にお腹が空かず食事量が減ってしまうことも。

「食べないから」とすぐ別のフードに変える
偏食の原因になってしまうことも。
ワンちゃんの体の負担もあるので、基本は7日かけて切り替えが鉄則です。
しばらくは様子を見てみましょう。

健康チェックは「うんち」でできる!
良いフードが合っているかどうかは、実はうんちがもっとも正直に教えてくれます。
良いうんちの特徴
- 形がしっかりしている
- 匂いがきつすぎない
- 量が多すぎない
- 色が極端に黒い・赤いなどの変化がない
逆に、下痢が続く・便の匂いが強烈すぎる場合は、体質に合っていない可能性があります。
フードは「犬の一生を支える土台」
犬の健康は、毎日のごはんから作られます。
フードの質を少し良くするだけで、
- 毛並みがツヤツヤになる
- 体臭が減る
- 排泄のリズムが整う
- 元気が増える
といった目に見える変化が出ることも珍しくありません。
大切なのは、“あなたの犬の体質に合ったフードを選ぶこと”。

最初は迷うかもしれませんが、基礎知識を知っておけば安心して選べるようになります。
あなたと愛犬の食生活が、毎日楽しみになるものになりますように。



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