はじめに|シニア期は「衰え」ではなく「ケアの転換期」
猫は7歳頃からシニア期に入るとされます。
見た目は元気でも、体の中では少しずつ老化が進み、若い頃とは違うケアが必要になります。

この記事では、初めてシニア猫と向き合う飼い主さん向けに、年齢による変化・日常ケア・注意したい病気まで、安心して暮らすための健康管理ポイントを解説します。
猫のシニア期は何歳から?
一般的に、猫は次のように年齢区分されます。
・成猫期:1〜6歳
・シニア期:7〜10歳
・ハイシニア期:11歳以上
個体差はありますが、7歳を過ぎたら「若い猫と同じケア」は見直すタイミングと考えましょう。

シニア猫に見られやすい変化
年齢を重ねると、次のような変化が少しずつ現れます。
・寝ている時間が増える
・運動量が減る
・毛ヅヤが落ちる
・食欲や食べ方の変化
・体重の増減
これらは老化の一環でもありますが、病気のサインが隠れている場合もあります。
シニア期の食事管理のポイント
シニア猫は代謝が落ち、若い頃と同じ量の食事では体に負担がかかることがあります。

・シニア用フードを検討
・消化しやすい設計のものを選ぶ
・食事回数を2〜3回に分ける
食欲が落ちた場合は、無理に量を増やさず、食べやすさや香りを工夫しましょう。
水分摂取は特に重要
腎臓に負担がかかりやすくなるシニア期では、水分摂取がとても重要です。

・水飲み場を増やす
・ウェットフードを取り入れる
・給水器の活用
飲水量が急に増減した場合は、病気の可能性もあるため注意が必要です。
運動量が減る時期の過ごし方
無理な運動は不要ですが、全く動かないのも筋力低下につながります。

・短時間の遊びを毎日
・段差の少ない環境づくり
・滑りにくい床対策
猫のペースを尊重しながら、負担の少ない運動を取り入れましょう。
シニア猫の生活環境を整える
年齢とともに、生活環境の影響を受けやすくなります。
・トイレの出入りが楽か
・寝床は暖かく静かか
・高い場所への移動が負担になっていないか
小さな環境調整が、日々の快適さを大きく左右します。

注意したいシニア期の病気
シニア猫に多い病気には次のようなものがあります。
・腎臓病
・甲状腺機能亢進症
・関節疾患
・歯周病
早期発見のためにも、日常の変化を見逃さないことが大切です。

定期健診の重要性
シニア期に入ったら、半年に1回程度の健康診断がおすすめです。
血液検査や尿検査によって、症状が出る前の異常に気づける場合があります。

シニア期に特に気をつけたい「変化のサイン」
シニア期の猫は、体調の変化をはっきりと表に出さないことが多くあります。
そのため、日常の中での「小さな違和感」に気づくことがとても重要です。

・トイレの回数や量が変わった
・食べるスピードが遅くなった、こぼすようになった
・鳴き声が変わった、夜鳴きが増えた
・急に甘えん坊、または距離を取るようになった
これらは加齢によるものの場合もありますが、体の不調が背景にあることもあります。
「歳のせい」と決めつけず、気になる変化はメモしておくと、通院時にも役立ちます。
年齢別に考えるシニア猫のケアの考え方
7〜9歳頃|シニア期初期
この時期は、見た目は若いままでも、内臓機能が少しずつ衰え始めています。

・食事内容の見直し
・年1回から半年に1回の健康チェックへ移行
・体重管理の意識
「予防」の意識を持つことが、この先の健康を左右します。
10〜12歳頃|シニア期中盤
体力や筋力の低下が目立ち始める時期です。

・ジャンプをためらう
・寝ている時間が増える
・関節のこわばり
生活環境の見直しや、負担の少ない暮らし方を整えていくことが大切です。
13歳以上|ハイシニア期
個体差が大きくなり、介護が必要になる猫も出てきます。

・食事量や食べ方の工夫
・排泄のサポート
・通院頻度の増加
無理に若い頃と同じ生活をさせる必要はありません。
「その子らしさ」を尊重したケアが大切です。
シニア猫のメンタルケアも大切
体のケアと同じくらい、心のケアも重要になります。

・急な環境変化を避ける
・生活リズムを一定に保つ
・声掛けやスキンシップを大切にする
視力や聴力が低下しても、飼い主さんの存在はしっかり感じ取っています。
安心できる関係性が、シニア期の生活の質を大きく左右します。
飼い主さんが無理をしすぎないことも重要
シニア猫のお世話は、飼い主さんの負担が増えることもあります。
・完璧を目指さない
・一人で抱え込まない
・不安な時は獣医師に相談する
飼い主さんが心身ともに余裕を持つことが、結果的に猫の安心につながります。

まとめ|寄り添う気持ちが一番の健康管理
シニア期の健康管理で大切なのは、
・年齢による変化を受け入れる
・無理をさせない
・小さな異変に気づく
この3つです。
猫にとって、安心できる環境と飼い主さんの気づきが、何よりの支えになります。
年齢を重ねた猫との時間を、大切に過ごしていきましょう。

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